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災害は「脱ダム」のせいではありません。

 南信地方のNさんより、「今回の災害は、ダムを造らなかったせいではないか」というお手紙をいただきました。
 以下、それにたいする返事を紹介します。


N 様
 お手紙拝見いたしました。
 貴重なご意見を寄せていただきましてありがとうございます。
 私どもの今後の活動の参考にさせていただきます。

 今回の諏訪地方と上伊那に起きた災害について、まだその原因について科学的に究明されているわけではありませんが、今の時点で私たちの考えていることをお伝えしたいと思います。

 まず諏訪地方の災害についてですが、岡谷市の湊地区の災害はここ百年ぐらいの間災害が一回も起きたことのない、誰も災害なんて起こるとは思ってもみなかった小さな沢筋でおきたわけで、この規模の沢筋すべてにダムを造るとなると諏訪地方だけでも数百ヶ所以上になって、費用は数千億もかかり、県全体では何兆円かかるかわからないとてもできる話ではないでしょう。 

諏訪地方の災害について

 さらに今回のような土石流の場合、砂防ダムを造ってもほとんど効果は期待できません。
 諏訪地方の災害について、いくつか考えなければならないことがあります。
 第一に山の問題です。
 諏訪湖をとりまく山はいずれも開発がすすんでいます。山腹には道路が縦横に走っています。この道路を「とよ」にして、八ヶ岳や蓼科山の山麓に降った雨は十数分のうちに諏訪湖まで到着すると言われています。
 第二に水田の問題です。
 水田の水を貯める能力は大変なもので、かつて山地と平地の諏訪湖をとりまく水田は諏訪湖の何はい分もあると言われてきました。 
自民党政府によって、お米の輸入をしながら、減反の押し付けが数十年にわたって続けられた結果、水田はかつての姿は見えず、耕作放棄による荒廃地や畑や宅地・工場などに変わって、水を貯める能力はかなり落ち込んでいると思います。
 第三に諏訪地方の都市部の拡大です。
このことによって、今まで水田や畑・草地など水が浸み込む土地だったところが、工場や家の屋根や舗装された工場の庭や駐車場、道路などに変わって、水が浸み込むこともなく、降った雨はたちまち諏訪湖に流れこむようになりました。
 このように諏訪湖と水の関係は以前とは大きく変わって、山でも町場でも降った雨がすぐ大量に諏訪湖に流れこむようになったのです。
 いままでは、諏訪地方に降った雨はゆっくり流れて諏訪湖に流れこみ、岡谷市の釜口水門から天竜川に流れていました。
 しかしこうなると諏訪湖に水を貯めきれなくなってしまったのです。 そこで、諏訪湖の周辺をぐるりととりまくコンクリートの堤防をつくりました。さらに、釜口水門を前の場所から沖へ500メートル移動して、天竜川へ毎秒600トンの放流ができるようにして、この水を何とかしようとしたのです。
 ところがここで大きな問題が残りました。
 600トンというのは、幅100メートル水深6メートルの水が1秒間に1メートル流れる量の水です。この水圧というのは大変なものですがそれだけではありません。天竜川には、大小さまざまな川の水がながれこんでさらに水量はふくれあがります。
 岡谷市の釜口水門から600トンの水が放流されても、下流の天竜川は600トンプラスアルファの水圧に耐えられるように河川改修が国土交通省によっていまだにされてこなかったのです。
 ですから、せっかく造った釜口水門から、600トン放流ができません。そんなことをしたら、下流の上伊那、下伊那に大災害をもたらすことになるでしょう。
 そこである程度の放流をしているわけですが、諏訪湖の水があふれて諏訪市内に水がついてしまうのです。
 そのある程度の放流でも、下流の河川改修に手を抜いてきた結果今回の災害が起きたのです。
 これが、箕輪町や伊那市・中川村などで起きた、天竜川にかかわる水害の一番の原因です。

土石流は?

 最後に土石流の被害の問題です。
 一番の問題は、山林が山肌を守りきれないということではないでしょうか。
 長野県は戦後一貫して、カラマツを植えてきました。長野県の山林のかなりの山がカラマツ林になっています。
 カラマツは、ブナやナラなどと比べて、根の張る範囲と深さが小さく、土を抱く力が弱いことが指摘されいます。
 その上外材にたよって、日本の森林を大事にしてこなかった政治によって、山林経営はあわないものとなり、公有・私有を問わずお金をかけた森林の手入れがなされなくなってしまいました。
 そのために、間伐もされず、本来なら太くなる木もそーめん立ちといわれるような細い木がこみ合っている森林がいたるところにあるようになってしまいました。
 これでは、いったん大雨が降って、たっぷり水が浸み込んだ山肌の土が斜面をすべるようになって土石流になってしまいます。
 6年前県政が変わって、森林整備に県の予算が増えるようになりましたが、それはまだ始まったばかりです。この流れを中断して「ダムさえ造れば」という流れにもどるようなことになるとますます心配です。
 岡谷市で災害が起きて、まだ発見されない方がいるうちに、待ってましたとばかりに、「脱ダムが原因」などとと言い出すなどは、Nさんもおっしゃるように、災害を選挙に利用しようという許せない姿だと思います。
 このように、減反を押し付け、外材を頼って日本の森林をないがしろにしてきた上に、天竜川の河川改修をさぼってきた自民党が、すべてを「脱ダム」のせいにして自分の責任を棚上げして、人が困っている災害を絶好の機会として、県政を牛耳ろうとしています。
 私たちは、このような動きを絶対に許してはならないと考えています。
 どうかよろしくお願いします。

 なお、ご近所に日本共産党の市議会議員がいますので、ご意見やご要望は何なりと遠慮なく申し出てください。

 暑い日が続いています。どうかお体を大切にして、ご健勝であることを願っております。

               日本共産党長野県委員会 有賀光良

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