日本共産党長野県委員会ウェブサイト |
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三つの角度から県政にのぞむ日本共産党長野県委員会書記長 山口典久 田中県政発足以来、利権県政の復活をねらう勢力は、県政改革の流れに激しい抵抗をくり返してきました。 この一二月になっても、長野市の鷲沢市長は、どうせ来年夏に県政はひっくり返るのだからと、県が進めようとしているダムなしの浅川河川整備計画や砂防計画について、いっさい聞く耳をもたず、県の説明を拒否し、県が行う住民説明会にたいしても徹底した非協力で、何が何でもダム復活という態度をとり続けて、浅川をめぐる問題を、住民の安全より政争の具にすることを優先してはばかりません。 田中知事の支持率の低下のなかで、長期にわたった同和特権を失った「解同」やえせ同和団体がここぞとばかりに勢いづいて、「差別事件」のでっちあげにもとづく「確認会」などが復活してきています。ゼネコンにつながる勢力は、「夜明けは近い」と「高規格道路」などの復活に期待をかけています。 このような様々な利権県政復活勢力は、県政の流れを旧県政時代に引き戻そうという動きをますます露骨に強めてきています。 また、広範な県民世論や高校生などの反対や慎重を願う声を無視した、文部科学省や財界・経済団体が求める高校再編をゴリ押ししようというやり方や、県職員を県政改革のパートナーとする立場に立たないやり方など、田中知事の県政運営上の弱点はさらに拡大して、県民本位の県政改革を望んできた県民の中に、知事にたいする一定の不信感が広がってきています。 一方、自民・公明政権とそれと同調している民主党などによって、憲法改悪、国民の暮らし破壊、地方自治破壊の政治が横行する下で、県民の暮らしや福祉、教育、環境をまもり、景気や雇用を守る県民のよりどころとなる県政はますます切実に求められてきています。 長野県下には、二〇〇に近い「九条」の会がつくられ、憲法改悪に反対し、平和を守る運動は全国の先進の役割をはたしています。医療改悪反対や高校再編の強行に反対する運動は、保守勢力と自覚的勢力の共同がすすみ、県下の高校生も各地で声をあげるなど、各分野の県民のエネルギーと運動は大きく広がっています。 三つの角度で県政にのぞむこのような状況の中で、県民本位の県政に向けて、次の三つの角度からの追求が大事になっています。 第一に、今日までの田中県政の県民のための改革の到達点を正しく評価して、これを県民の利益を守る方向でいっそう発展させるために努力する。 第二に、田中県政の県民の利益をそこなう問題について、きちんと批判をし、正すためにたたかっていく。 第三に、県民要求実現のために、様々な課題で県民的な運動を旺盛に展開して、文字どおり県民参加の県政を草の根から築いていく。 言うまでもなく、これらの三点は独立したものでもなく、相互に関連してすすめるべきことです。 自民党・「連合」などの幹部が、「諸悪の根源は田中県政にあり」と「田中知事でなければ誰でもよい」という意見がありますが、県民を苦しめている自民・公明政権とこれに同調している民主党などの悪政を免罪し、今日までの県民本位の改革を崩壊させて、ダム復活に象徴される利権政治や「解同」の利権や横暴の復活を絶対に許すわけにはゆきません。 また、「田中知事のやることは、多少のことは目をつぶる」という人もいますが、田中知事の県民の利益をそこなうやり方に目をつぶって、県民のための、まともな県政改革の前進はありえません。 県政改革の到達点をどう評価するか田中県政が生まれて五年がたちました。 田中知事の当選直後、塩尻市の助役や県の土木部の技官が選挙違反で逮捕され、辞職、懲戒免職となるなどの県職員ぐるみ、市町村ぐるみ選挙を打ち破って、長野県民の良識が県政の改革を望んだ結果でした。 前県政の時代 前県政は、日本共産党以外の知事の提案は何でも賛成という、オール与党に支えられて、九〇年代の一〇年間に一兆円もの新たな借金を増やし、年間一兆円の県予算にたいして、一兆六千億円もの借金残高、全国ワースト二位という結果をつくりました。 県の借金の九割は公共事業でつくった借金であり、県外大手ゼネコン奉仕の大型開発優先のゆがんだ県政の結果でした。 九〇年代のピーク時には、年間四八〇〇億円もの公共事業を投入し、浅川ダムなど無駄で危険な地滑り地帯へのダムに反対する県民の声を無視して、ダムを強行する一方で、生活道路の整備率は全国最低レベルにとどまっていました。 不公正な同和行政では、部落解放同盟長野県連の役員にたいして様々な名目で一億四千万円を超える事実上の給与が支出されるなど、東日本随一といわれる大盤ぶるまい、民生費(福祉費)は全国最低レベルで、県民の切実な願いに逆行する財政運営が続いたのです。 日本共産党県議団は、借金のおおもとである公共事業の無駄を無くす見直しや、借金に頼らない財政運営、教育、福祉、暮らしの願いを実現することを提案し続けてきました。 政治の顔である、予算はどう変わったか 田中県政は、このような財政運営を改め、「脱ダム宣言」に象徴される公共事業の見直しに踏み切り、公共事業を大型開発優先から生活密着型に切り替え、公共事業総額の削減や、災害対策以外は年度当初に予算化した公共事業費を補正予算での積み増し、増額は基本的にはしない、など新たな借金は増やさない努力を始めました。 不信任を受けての再選後、田中知事は、財政再建団体への転落を回避するための「財政危機宣言」をだし、「財政改革推進プログラム」を策定しました。 このプログラム策定にあたり、日本共産党県議団は、公共事業の無駄をなくし、借金に頼らない財政運営につとめ、新たな借金をつくらない努力とあわせ、県民サービスを後退させることなく、福祉・医療・教育などへの予算の確保を提言し、このことは、「長野モデル創造枠予算」として生かされました。 借金を減らし、教育・福祉重視へ税金の使い方の転換 このような取り組みの結果、田中知事が就任して以降、公共事業中心の借金(普通債)は五年連続して減少し、約二二〇〇億円減らすことができました。また、トータルでの県の借金(県債)も約五四七億円の減少となり、昨年度(〇四年度)に前年度より県債残高(県の借金)を減らしたのは、全国の都道府県では唯一長野県だけでした。 このことは、賃金カットに合意するなど県の職員の協力もあってのことです。 県の予算の中でのトップの座は、土木費から教育費にかわり、民生費(福祉費)の予算に占める割合は、約二倍となりました。 九〇年代には年間一兆円の予算にたいして、公共事業費が四八〇〇億円、社会保障費が一五〇〇億円であったのにたいして、今年度(〇五年度)は、公共事業費一二〇〇億円、社会保障費一三〇〇億円となり、公共事業予算は比率も減り、社会保障予算は額をほぼ維持しながら、比率を高めています。 長野県の同和事業は基本的に終結しました。 「予算は政治の顔」といわれますが、このような県民の税金を、文字通り県民の願いに振り向けられる県政の改革、前進を日本共産党は基本的に支持し、歓迎します。そしていっそうの前進のために、努力をつくす決意です。 実った県民の切実な願い 五年間の田中県政のもとで、長年にわたって県民が実現を願って運動してきた、多くの切実な願いが実りました。 脱ダム 日本共産党が県民とともに反対してきた浅川ダム、下諏訪ダム、大仏ダム、蓼科ダムなどは、「脱ダム宣言」後検討委員会の議論を経て中止となり、県議会のダム推進勢力の抵抗にあいながらも、県民参加の新たな治水・利水対策が前進しつつあります。 教育・福祉 知事就任当初は、「三〇人学級より、教員の資質向上が大切だ」とあまり積極的ではなかった田中知事も、県民の世論と運動、日本共産党県議団の独自の調査にもとづく提案などに押され、三〇人学級の実施に踏み切り、現在は小学校四年生までは全額県費負担、五年生以上は市町村との協力で実施しています。 若槻養護学校に高等部が設置され、県下の全養護学校に高等部が実現しました。 〇一年度に障害児学校への先生を二七人増員し、その後軽度発達障害児への教員加配も実現しました。 養護学校高等部訪問教育の年齢制限がなくなり、医療的ケアを必要とする子どものための養護学校への看護師配置が実現しました。 県立子ども病院の院内学級の充実、家族の宿泊場所の設置が実現しました。 身体、知的、精神障害者の総合支援センターを県内一〇圏域に開設しました。 児童虐待に対応する児童相談所の通年一時保護と教員配置が実現しました。 一歳児保育の保育士の配置を国基準(園児六名に一名)を県独自に引き上げて、園児四名に一名としました。 全国トップレベルの二五〇ヶ所を超える宅老所の設置と宿泊経費への補助等々、教育・福祉の分野でのきめ細かな施策が前進しています。 産業・雇用 公共事業の減少による建設業の他産業への転換などへの支援、試行錯誤を繰り返しながら、地元業者が報われる入札制度、小規模業者も参加できる入札制度の改革が取り組まれてきました。 間伐予算の増額、県産材の育成、活用がすすみました。 二万人の常勤雇用をめざす「雇用創出プラン」の策定、「ジョブカフェ信州」(若者就業支援センター)を長野と松本に開設し、就業相談員(キャリアコンサルタント)を県下に派遣する事業に取り組んでいます。 ヤミ金融対策も全国トップレベルです。 公正・公平な県政の前進 この間の県民のみなさんと手を結んだ日本共産党県議団の正論にもとづくがんばりで、政務調査費の公開や、全国の県議会に例のない、県議会の公費による海外視察の凍結がされています。 浅川ダム工事をめぐっては、長野県公共事業入札等適正化委員会がつくられて、「しんぶん赤旗」記事が大きなきっかけになって、「談合」が認定されました。 またオリンピック帳簿問題も大変な困難を押してメスが入りはじめました。 不公正な同和行政は基本的に終結。 「連合」系労組の委員で独占していた地方労働委員会の労働者委員に県労連からも選任されました。 合併押し付けはせず 日本中の都道府県が、市町村合併の押し付けを進めているなかで、長野県は唯一といっていいほど合併の旗振りはせず、自立する自治体への支援を打ち出しています。 県政が身近なものに ガラス張りの知事室や車座集会、「ようこそ知事室へ」、県民の声ホットラインなどの取り組みで、県政が県民に身近なものになり、県政の改革が前進し始めたことを大いに歓迎し評価するものです。 改革の流れを擁護してさらに前進させましょう このような県民の願いに応える施策が、淡々と実現したわけではありません。 県議会内外の利権県政復活をねらう勢力とそれに呼応したマスコミの一面的な報道による、執拗な妨害がくり返されてきました。そして、この策動は来年八月の知事選挙にむけてますます激しくなっています。 私たちの基本的なスタンスは、利権県政の復活を許さず、県民本位の改革の流れを擁護してさらに前進させるということにあります。 田中県政の問題点
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