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税金の使い方から見る、県政改革 日本共産党長野県委員会 予算は政治の顔といわれます。長野県政をみるとき、県民の納めた税金がどのように県民のために使われてきたのか、あるいは使われてこなかったのかが、県政を検証する一番の目印です。よく「県政改革」と一口に言われていますが、この「改革」の中身もつきつめれば、税金の使い方がどう変わったのかにつきるのではないでしょうか。長野県政のこの間の変化を、税金の使い方という面から見てみたいと思います。 県政をむしばんできた大型公共事業優先の政治 九十年代の十年間をみると、長野県の年間予算約一兆円のうち、毎年三千億円から四千億円が土木を中心にした公共事業であり、予算の主要な部分を占めていました。一○倍してみて下さい。十年間に県民のくらしからは、想像もつかない額のお金が使われてきたのです。 一九九一年の県債残高(積もり積もった県借金の合計)は七千三百五十四億円でした。それが二○○○年吉村知事引退時には一兆六千億円となって、約1兆円もの借金がこの間に増えました。この一兆六千億円の県債残高のうち土木関係で一兆円をこえ、農林・水産を加えた借金が九割近くを占めています。 全国的には、バブルが崩壊して、そんなにばく大なお金を公共事業にかけられなくなった時期だったにもかかわらず、九八年の長野オリンピックにむけて投資的経費と起債の発行額(新たな借金のこと)が急速に伸びてきました。 オリンピック関係の投資が終わったあとにも、無駄なダムやけたはずれに立派な農道など大型公共事業優先の県政が続きました。しかも公共事業に毎年ばく大なお金をかけながら、生活道路の整備など生活密着型の公共事業は大きく立ち遅れていきました。 また、九○年から九七年までの決算でみますと、五億円以上の発注工事の七割が県外の大手ゼネコンへの発注です。当時大手ゼネコンの長野県出張所や支店に次々と県の土木部の幹部職員が天下りで就職していたことは全国的にも有名な話でした。 このしわよせで、教育・福祉・くらし・環境や農業・産業政策などが後回しにされ続けてきたのです。田中康夫知事の登場と「脱ダム宣言」それに続く大型公共事業優先からの脱却は、多くの県民から歓迎されました。 「脱ダム宣言」と二○○一年当初予算 二○○○年十月十五日投票の長野県知事選挙で、田中康夫氏が知事に当選し、翌年の二月「脱ダム宣言」が発表されて、田中知事のもとではじめての本格的な予算編成が行われて、二月県議会に提案されました。一般会計予算 一兆三○三億八二五○万円で総額は前年比一,一%増でした。公共事業は一五一八億円で、前年度比マイナス一四、一%・二五○億円の減となりました。 知事はこのときの議案説明で、「旧来のいわゆる三公共を中心とした公共投資から、福祉・教育・環境など県民生活を重視した公共投資へと予算の重点化を図った」とのべました。吉村県政の最後の年(二○○○年当初)と比べると、福祉関係一七七,三%、医療関係一一二,六%、教育関係一○六,九%、生活環境関係一九四,三%それぞれ増えており、知事の説明を裏づけています。 また、森林整備費は前年度比で一四○%増えて、間伐実施面積は一八七,四%と倍近くふえました。木曽川右岸道路の建設促進のために、すでに事業化している区間の早期完成をめざして、土木・林務あわせて五○億九千万・前年度比一三四・七%の大幅な増加となりました。 また、父母や教師のみなさんの長年の要望であった障害児学校の教職員が二四名増員されたことも大きな前進でした。 福祉関係では、老人ホームや老人保健施設など五十八ヵ所に六十八億円の予算がつきました。これら老人福祉施設には市町村から希望のあがったものにたいしては、一○○%予算がつきました。市町村からの希望が全部その年に実ったということは初めてということでした。当時ある市の福祉部長は「こんなに早く予算がつくとは思わなかった。花火をあげてお祝いしたいくらいだ」と大変喜んだという話さえ伝わってきました。 日本共産党県議団は、「今回の予算案は、公共事業の総額を減らし、福祉・暮らし・教育優先に中身を切り替えるという積極的な意思がしめされたもの」として賛成しました。この年の「信毎」二月二六日付には、「県民の八八%が公共事業の見直しを支持している」と報道されています。 しかし、このような県民の気持ちと県議会内の空気とは大きな落差があって、県議会ですんなりこの予算案が通ったわけではありませんでした。旧オール与党勢力は、知事が予算査定の段階で道路などの公共事業九十四ヶ所三十九億円を先送りしたことと公共事業費二百五十三億円削減したことへ攻撃が集中しました。 県議会の直前に発表された「脱ダム宣言」によって中止となった、下諏訪ダムの予算二億三千万円の復活修正を提案するなど、本会議をおよそ七時間にわたって空転させました。 この攻撃は県議会内にとどまらず、県町村議長会会長名による、町村議会からの「公共事業を求める意見書」を県議会に送る動きや、下諏訪ダムをめぐっては、当時の下諏訪町長などが国に出向き、この要請に扇国土交通相が応じる、など国と呼応しあった攻撃も展開されました。さらに旧建設省から出向していた県土木部長が議場で公然と知事と異なる見解を答弁したり、日本共産党県議団以外の旧与党会派は党派・会派の違いを超えて結束し、セリフも統一して「公共事業の削減が不況を長引かせ、県内成長率を低下させ、雇用不安を引き起こす」と妨害のための大合唱が毎日のようにくり返し演じられました。マスコミも連日書きたてます。どこかにこの「混成?」合唱団の指揮者がいたに違いありません。 福祉・教育への就業者は長期にわたって雇用が確保され、地域の消費への還元がありますが、ダムなどの維持管理だけでは、地域経済への波及効果はわずかなものです。 九十八年度に県の情報統計課による試算でも、一千億円の投資の波及効果、雇用効果は公共事業部門が八千三百人にたいして、社会保障・医療への投資は三万五千人と福祉・医療への投資が約四倍の雇用効果をもたらすという結果がでています。 日本共産党県議団は、この議会で「大型開発優先から県民の暮らし福祉を大事にする予算へ」変りはじめた県政の流れを擁護して、論戦の先頭にたってがんばりました。 知事不信任で問われたもの 二○○二年七月五日、全長野県民注視のなかで、どこから見ても理不尽な田中知事不信任案が可決されました。この模様はテレビで長時間放映されて、日本共産党の県議団が大いにがんばった姿をテレビを通じて見た県民もたくさんいたことでしょう。こうして、いわゆる出直し知事選が行われました。この選挙で問われたものは、「脱ダム」の道を前にすすめるか後戻りさせるか、県民がおさめた税金がどう使われるかが最大の争点でした。 結果はすでにご承知のとおり、田中康夫前知事が八二万票余を獲得して、不信任強行・ダム固執勢力の推した候補者にダブルスコアの大差をつけて圧勝しました。選挙の結果は、県議会多数派が強行した不信任にたいする厳しい審判であり、ダム中止を含む無駄な大型公共事業から、生活密着型の公共事業へ、くらし・福祉・教育・環境優先の政治への県政改革の流れを止めてはならないという県民の意思を示したものです。 以後県民は「自分の一票で政治は変えられる」という確信とともに「税金の使いかた」にきびしい目をもって、行政に注目するようになってきています。 財政改革推進プログラムをめぐって 二○○二年十二月長野県は県の財政状況は「財政再建団体への転落も想定される危機的な状況に直面している」として「財政改革推進プログラム」(以下「プログラム))を発表しました。 それによると、「経済悪化の影響から県税収入が戦後最大の落ち込みになる一方で、義務的な経費が増加し財政が硬直化していること、また過去の借入金の返済が財政を圧迫していることから大幅な財源不足が発生し、このままでは平成十六年度に財政再建団体への転落も想定される危機的な状況に直面しています。」と県財政の危機を訴えています。 無理な借金をして(起債発行)大型開発をすすめてきた結果借金が積もり積もって1兆六千億円をこえ、いま借金の返済(公債費)の増大となって県の財政を圧迫しているのです。 日本共産党県委員会と県議団は、翌年二○○三年一月八日「県民本位の財政改革」の提言(以下「提言)を発表し、このなかで、県政の今日の財政危機をもたらした原因について次のようにのべています。 「この事態を招いた根本的な原因は、自民党政府が本来地方自治体に必要な財源を保障してこなかったことと、地方自治体の財政を大型公共事業に誘導してきた国の地方財政のあり方にあります。そして、前県政と旧オール与党勢力が、この国の方針に追随して大型開発、大型公共事業優先の県政をすすめてきた結果、ばく大な借金をつくりました。 さらにこれに追い討ちをかけたのは、小泉内閣の失政による不況で、県の財政収入の大きな柱である法人事業税の大幅な減収です。」 そして、先の知事選挙の選択で「ダムなど公共事業のあり方」を重視した世論が七六%であったように、「公共事業の見直しは県民の意思であり、財政再建にとってさけてとおることのできない課題」と無駄と浪費の大型開発にメスをいれて、生活密着型の公共事業への転換を呼びかけました。 *新たな財政システムを 「プログラム」はさらに続けて「ここでのべる『財政改革』とは、単に収支の帳尻を合わせることではなく、これまでの常識や慣習を良い意味で打ち破り、真に必要な施策に大胆な発想で財源配分を行うとともに、産業の活性化や雇用の創出を図ることにより安定的な財源を確保し、二一世紀型の新たな財政システムを構築することです。」と新しい財政構造の枠組みを提起しています。日本共産党はこうした考えを積極的に評価して、一つひとつ見れば賛成できないものもありますが、全体としては、この「プログラム」を支持するという立場をとってきました。 *旧来の公共事業依存体質からの脱却 「プログラム」では6ページに「旧来の公共事業依存体質から脱却し・・新たな財政構造を構築し」「今後は旧来型の大型公共事業を中心に景気・雇用を維持するのではなく、身近な社会資本整備に重点を置くとともに、福祉・医療・環境・教育・産業・雇用など県民の目線に立って決め細やかな施策を展開することにより、活力ある長野県を創造します。」とのべています。 これらのことは、県政ばかりでなく国政もふくめて住民本位の政治への大転換であり、日本共産党としてもその成功のために力をつくすことは、県民の利益にもっともかなうものであると思います。この年の二月十五日付「朝日新聞」は社説で、こうしてつくられた長野県の予算について、「地方からこの国の変革を促す試みに勇気づけられる地方自治体はたくさんあると思われる」と書きました。 *収支改善の具体策 「プログラム」では収支改善の具体策を次のようにしています。 平成十五年度から十八年度までの四年間に、事務事業見直しで一五八億円、公共事業・県単独事業の大幅削減など投資的経費の削減で六三四億円、人件費の抑制で二五八億円、歳入の確保で四五億円計一千九五億円生み出す。 「今後の施策展開にあたっては、公共事業にたいする財源配分の割合を引き下げて、福祉、環境、教育、産業・雇用といった重点配分を中心に、県民生活を重視した事業に重点的に財源を配分」としています。そして公共事業費四○%、県単独事業五○%の削減を目標にすることを打ち出しました。 日本共産党はかねてより、国の段階において、公共事業四○兆円、社会保障に二五兆円という逆立ちした税金の使い方を改めることを、日本改革の柱とすることを提案しています。長野県政の今回の改革案は、私たちの考えとも一致するものです。おそらく、全国的にも画期をなすものだと思います。 人件費をめぐって、地公労の関係者のみなさんも大変なご苦労がありましたが、妥結することができました。 予算を削減する話だけではなく、新たな長野県を創るための「長野モデル創造枠予算」を創設して、これに二一○億円、さらに民生関係の経費増を九○億円見込んで、合計三○○億円を計上しています。 *同和事業の廃止 今回の「プログラム」のなかに同和事業の廃止を盛り込んだことも重要です。 二○○二年の知事選の後の九月議会において、日本共産党の石坂議員の質問にたいする知事答弁の中で、営農指導員や経営指導員などさまざまな名目で十数名にのぼる「解同」県連幹部と事務局の書記に人件費が県費から支払われていた実態が詳細に報告されて、あまりのひどさに議場内が一瞬ざわめきました。 東日本随一と評されてきた、数十年にわたる「解同」いいなりのゆがんだ同和行政をやめる方向を打ち出したことは、公正民主の行政のあり方として、勇気ある決断を評価するものです。残念なことに、県下の市町村のなかにはいまだに「解同」言いなりの同和事業を改めることができないところが数多く残っています。 *国の制度の矛盾点を改めることを求める 「プログラム」では「しかしながら、今日の制度では、地方公共団体の財政運営は国の制度の枠組みにしばられており、県が自主的に財源配分を大きく変え、福祉・医療、環境、教育といった県民が真に望む分野に重点的に財源を振り向けていくことは困難な状況にあります」とのべて、国にたいしていくつか具体的な解決策を要望しています。 たとえば、一○○億円の大型公共事業の場合、国庫補助五四,二億円、認められる県債二三,三億円、負担金・分担金五,九億円で純一般財源は一六,六億円となっています。 県は約一七億円あれば100億円の公共事業ができるしかけになっているわけです。 ですから、100億円の公共事業をやめて、他のことをやろうとしても、使えるお金は一七億円程度にしかならない。公共事業以外の事業に五四,二%もの効率の国庫補助金なんてそうあるものではありません。 小中学校の改築・改修でみますと、市町村の負担は建替えなら二六、七%ですみますが、補修なら六六,七%の負担です。 道路工事ではどうでしょうか。新規または大規模補修なら県の負担は40%ですみますが、一般補修工事では一○○%県負担です。 国の補助金の制度がいかに、大型公共事業優先のしくみになっているか、こうやって国が地方に大型公共事業に政策的な誘導をしてきて、今日の地方財政の困難をつくり出した元凶であることがよくわかります。 このように「プログラム」では、県民のための財政改革をすすめるうえで、国の制度の矛盾の解決を訴え、その問題点を県民に明らかにしています。 県政のあり方として、こういう姿勢はたいへん大事だと思います。 県民のための施策はどのように前進してきたか *借金を減らす努力 今年六月県会に提案された補正予算までの計算では、歳入(県の収入)に占める県債(借金)の構成比は一○、八%となりました。いままで県債依存度が最も高かったのは、九十五年度で二○,二%でしたから、その半分の水準にまで下げたことになります。 2003年度末の県債残高の見込み額は一兆六千四百九十九億円となっており、前年度末現在高よりも一四七億円減り、対前年度比マイナス○、九%となる見込みです。 二○○四年度末には、さらに一○七億円減る見込みであり、二年連続して減少ということになります。 このように「プログラム」がめざす方向として、新たな借金をできるだけつくらない姿勢で予算を執行してきた努力が数字の上にも反映しています。 しかし歳出面(県の支出)では、過去に借り入れた借金の返済がいまだ高い水準を保ち続けているために、県財政は引き続き厳しい状況にあります。 *福祉の充実にむけた取り組みの前進 障害の種別を問わない総合的な障害者施策を推進するために、身体、知的、精神の三障害すべてに対応できる総合支援センターが県内一○圏域に設置され、全体としてきめ細かい施策が充実することになりました。 乳幼児一歳児保育士子ども六人に一人から四人に一人になりました。 無認可保育所への他県にない支援、自閉症やDV被害者への対応、小児初期救急医療体制の整備、子ども病院の第五病棟の開設や家族宿泊施設など医療体制の充実もすすみました。 日本共産党県議団は、今日の児童・生徒をめぐる事件があいつぎ、児童虐待が依然として深刻な状態にあるなかで、児童相談所の環境整備、機能強化を一貫して提起してきました。今年六月県議会で、松本児童相談所の移転・改築が決まりました。子育て支援センターへの県の支援も数十ヵ所にのぼっています。 *教育の施策も前進しました 特筆すべきことの第一は、三○人規模学級の前進です。まず一年生まで実現し、昨年は一気に三年生まですすみました。今は四年年生までは全県でおこなわれています。希望する自治体は六年生まで。全国的に見ても、長野県の到達点はトップクラスになっています。 かって小海町や中川村などが独自にやろうとして、県教委の猛烈な圧力でつぶされたことを思い起こせば、県政の大きな変化を一番実感できる分野です。 三○人学級の実現には、「市町村に一部でも負担させることはけしからん」と議会の内外から激しい妨害・攻撃をうけました。この攻撃は、三○人規模学級になって一番利益を受ける子どもたちや、教育現場の実情を考えない、きわめて非教育的な論議に終始しました。 長野県下の父母や教師は長い間、毎年数十万、積み重ねれば一千万ともいわれる署名を集め、苦労して運動をしてきました。日本共産党県議団は、毎年の予算要求のたびごとに要求し続けて、三○人学級をはじめている山形県などを視察して、「やる気があればそうばく大なお金がかかるわけではない」ことを示して、長野県での実現を県に申し入れをしてきました。 国は三○人学級にきわめて冷淡な姿勢をとり続けています。官僚県政が続いていたら、この国の姿勢に逆らうことはなく、三○人学級の実現はもっと困難なままにあったでしょう。日本中の多数の県の状況がそれを示しています。 県教育委員会は、この激しい妨害・攻撃の嵐のなかでよくふんばって実現にこぎつけたと思います。 三○人学級は本来国の責任でやるべき問題ですし、県の財政が現在のような状況でなければ、全額県負担もありうることだと思います。 市町村に一部負担を求めるということは、財政困難のなかでも、このような県民の声や子どもたちの願いに応えようというひとつの知恵として評価すべきものです。 県民の長い間の願いであったが、前県政時代には延ばしに延ばされてきた稲荷山養護学校の県内産木材による改築工事が始まりました。 教育の分野ではさらに、LD・ADHD児への支援加配教員の配置、養護学校のなかで唯一高等部のなかった若槻養護学校への高等部の設置などがすすみました。 子ども専用の相談体制・チャイルドラインが創設されました。 *経済政策・雇用対策の強化 二○○三年二月県議会で提案理由の説明にたった知事は「事業費一億円で雇用できる労働者数というものは、例えば下水道や道路では千三百人日(にんにち)程度だが、造林は四千百人日、間伐等では五千三百人日」と数値をあげて、「福祉、環境、教育分野への投資はこのように従来型の公共事業に勝る経済効果がある」とのべました。 中小企業への融資制度を改善し、商工会の指導員以外にも、公的資格のある人の意見書で申し込みができるようになりました。 日本共産党県議団が主張し続けてきた、長野県独自のローカルルールとしての1,5車線道路による身近な道路整備が県下各地ではじまりました。 建設業から他産業への転換に関連して、中小企業融資制度のメニューのなかに、建設業新分野進出支援資金が創設されました。建設業者が農業分野に進出する場合の利子補給などが実現しました。 小規模業者の参加希望型指名競争入札制度の拡大や、地元の小規模業者に多くの仕事を発注できる「高等学校等校舎緊急維持修繕事業」が六十四校九十六ヶ所で実施されました。 また、佐久技術専門校など県有十五施設を対象にした小規模修繕も計画されました。 ヤミ金融被害者救済緊急対策会議を設置し、「ヤミ金一一○番」を開設。さらにヤミ金融に利用されている疑いのある口座の閉鎖、行政として多重債務者対策で何ができるか研究するなど、全国的にももっともすすんだヤミ金対策をすすめています。 *雇用対策 長野県は、03年2月に今後五年間で常勤雇用を二万人、短期的雇用をやく百十一万人日生み出すとする「産業活性化・雇用創出プラン」を策定しました。03年度の常勤雇用創出の実績は、常勤者四、三七二人で目標達成率九六、九%というように着実に雇用を生み出しています。 国の「緊急雇用創出特別基金」の活用率は九十九、二%で全国のトップレベルです。事業内容は、教育文化、環境、福祉、医療、地域振興が重視され、障害児や外国籍児童・生徒のための支援員の配置などに使われています。 *青年の雇用対策 松本市に、若者就業者サポートセンター(ジョブカフェ)を置き、長野市に相談所、全県各地のコンサルタントと連携をとって、若者の就職相談にのれる体制をつくってます。 ひとつの県に複数の相談施設があるのは長野県くらいです。開設後一ヶ月で一八人が就職でき、利用者は1千人以上にのぼっています。 *その他 二○○三年二月県会で田中知事は、国の期限をきっての合併促進に「違和感をもっている」と答弁し、全国の都道府県がやっているような、県として町村合併の押し付けはやらないという立場をとっています。このことが全国の流れとちがって、合併するかどうか自治体ごとに自主的に決めてゆく土壌をつくりだす効果になっています。 「長野県市町村自立支援プラン」を策定して具体化をすすめています。 *補助金・交付税削減・税源委譲をめぐって 新潟市で開かれていた全国知事会議は、八月十九日、義務教育費国庫負担金の削減などを盛り込んだ三、二兆円の補助負担金の削減案を賛成多数で採択しました。 この削減案によれば、国が教員給与の半額を負担している「義務教育国庫負担金」は○六年度までに中学校分八千五百億円を削減、○九年度までに小学校分をふくめて全廃するというものです。そもそも「義務教育国庫負担金」は教育の機会均等を保障し、全国的な教育水準を確保するために国が財源補償に責任を負う制度です。 これが廃止になれば、今でさえ自治体の多くが財政難の下では、いままでのような学校教育の維持が困難になって、教育水準の低下や自治体間の格差が危惧されます。 たとえ税源委譲されても自治体間の税収格差はさけられません。文部科学省の試算でも、四十道府県が減収となっています。戦前戦後を通じても、日本の教育に重大な事態をもたらそうとしています。 一方国土交通省は、道路特定財源・建設国債などを財源としている公共事業は税源委譲の対象になりにくいため影響はすくないとにらんでいる(信毎八月二十日)という報道もあります。 四年度の自治体向け国庫補助負担金一般会計と特別会計を合わせた二○、四兆円の内訳でみますと、老人医療三・六兆円、市町村国保二・五町円、生活保護一・七兆円、介護保険一・七兆円など社会保障関係で十一・七兆円(五七%)であり、義務教育費二・五兆円をふくむ文教科学振興 二・九兆円(十四%)となって、福祉・教育関係だけで国庫補助負担金の七一%にのぼっています。ちなみに公共事業関係四・八兆円(二四%)その他一・○%(五%)となっています。 長野県の田中知事は、群馬、山梨、三重、広島、愛媛、大分の各県知事とともに反対しました。 このような自民・公明政権の下で日本の教育・福祉・暮らしにとって重大なことがもたらされようという事態を前にして、この田中知事のとっている態度は地方自治体の長としての見識をしめしたものと思います。県知事だけでなく、広く県民的な運動でこの国民生活にたいする攻撃をはねかえしてゆくことが求められています。 県民の願いに応える、プログラム見直しへ 連続した地方交付税と臨時財政対策債の削減、国庫補助金の削減、国の地方財政政策は全国の地方自治体にかってない財政危機をもたらしています。長野県としても、「プログラム」の見直しにせまられています。 いくら財政困難とはいえ、ゆずってはならないものがあります。憲法第十二条には、基本的人権がうたわれ、第二十五条には健康で文化的な生活を営む権利とそれを保障する国の責務が明記されています。 また、地方自治法第一条の二項には「地方公共団体は住民の福祉の増進をはかることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広くになうものとする」と書かれています。いまあらためて、地方自治体の存在意義が問われています。 当然のことながら、この基本の上に「プログラム」の見直しはおこなうべきであります。 「プログラム」の冒頭、「単なる帳尻合わせではなく・・新たな財政システムを構築する」とのべている理念をいかして、いっそうの冗費の洗い直しと住民に犠牲を押し付けない最大限の努力をした見直しとともに、より住民本位の県政へ新しい財政構造の提起が求められています。 (2004年8月)
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