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県民本位の財政改革と景気対策をすすめて全国に発信する、希望ある長野への転換を

―日本共産党の提言―

2003年1月8日  日本共産党長野県委員会

「財政改革推進プログラム」を支持します

 日本共産党長野県委員会は12月2日に田中県政が発表した、県の「財政改革推進プログラム(案)」の基本的な考え方を支持します。

 こ の文書のはじめにの部分で「ここでのべる『財政改革』とは、単に収支の帳尻を合わせることではなく、これまでの常識や慣習を良い意味で打ち破り、真に必要 な施策に大胆な発想で財源配分を行うとともに、産業の活性化や雇用の創出を図ることにより安定的な財源を確保し、21世紀型の新たな財政システムを構築す ることです」と、新しい財政構造の枠組みを提起していることは積極的に評価できるものです。

 国の来年度予算は、借金をさらに増や し、巨大開発にどんどん税金を流し込む一方、国民には社会保障で新たに3兆円もの負担増を押しつけるものです。これにたいして今回の改革(案)は「これま でのように県債に依存して公共事業等を実施するのではなく、中長期的な展望にたって借金に過度に頼ることのない財政運営を行っていくこと」「今後は、旧来 の大型公共事業を中心に景気・雇用を維持するのではなく、身近な社会資本整備に重点を置くとともに、福祉・医療、環境、教育、産業・雇用などの県民の目線 に立ってきめ細やかな施策を展開することにより、活力ある長野県を創造します」として、公共事業40%、県単事業 50%削減とともに、新たな300億円の長野モデル創造枠予算を提示しています。

 30人学級の拡充や特養ホーム・宅老所の増設な ど教育・福祉の充実、農林業の再建、ITの社会全体への有効活用など産業の活性化、文化など県民の切実な願いを実現し雇用も拡大する方向へ、広く県民の もっている創意とエネルギーを結集した希望ある長野県への展望をきりひらくものです。

 日本共産党長野県委員会は、このような県民の願いに応える改革の方向を大局的に支持するとともに、より一層県民の願いに応えられ改革推進のために以下のような提言をおこないその実現のためにがんばります。

財政危機をもたらしたものはなにか

 長野県の財政は1兆6000億円を越える借金をかかえ、危機的な状況にあります。

 こ の事態を招いた根本的な原因は、自民党政府が本来地方自治体に保障すべき財源を保障してこなかったことと、地方自治体の財政を大型公共事業優先に誘導して きた国の地方財政のあり方にあります。そして前県政と旧オール与党勢力が、この国の方針に追随して、大型開発、大型公共事業優先の県政をすすめてきた結 果、ばく大な借金をつくりました。また、しなの鉄道の発足にあたって、JRいいなりに全国に例のないJR資産の買い取りをうけいれ、今日県財政の重い負担 になってきました。

 さらにこれに追い打ちをかけたのは、小泉内閣の失政による不況で、県の財政収入の大きな柱である法人事業税の 大幅な減収です。平成12年度と14年度見込み額との対比でみますと、機械関係の法人事業税は23億2500万円から7億8500万円へ、電機関係の法人 事業税は129億4800万円から19億 8900万円へなど、軒並み激しい落ち込みになり、法人事業税全体では200億円以上も激減しています。

 田中県政はこのばく大な借金と、著しい税収不足という重い負の遺産をひきついでの出発をよぎなくされました。

 長 野県は単年度の赤字が250億円をこえれば地方財政再建法第22条2項を準用して「準用再建団体」になります。財政再建団体になれば、建設事業の地方債の 発行が認められない、職員の削減、昇給停止、単独事業の廃止、公共料金の一律数十%の値上げ、国にある制度以外はいっさいの県単独の事業はみとめない、な ど県政が国による厳しい規制のもとにおかれます。

 県民も私たちもこのような「財政再建団体」になることをのぞんでいません。

 長野県政の財政再建にあたって、この原因と責任をきちんと明確にすることがとくに求められています。

 このような県財政を危機的な状況に陥れた張本人である、前県政を支えてきた旧オール与党勢力は、このことに何の反省も示さず、一部では今なおダムや高規格道 路などの大型公共事業に固執しており、まったく無責任と言わなければなりません。前県政時代に絶対もどしてはなりません。

公共事業の見直しは県民の意思であり、財政再建にとって不可欠

 今回の「財政改革推進プログラム(案)」は、財政構造の大きな枠組みをいままでの流れから県民本位に抜本的に転換するもので、公共事業の思い切った見直し は、先の知事選での選択で「ダムなど公共事業のあり方」を重視した世論が76%であったように県民の意思です。財政再建にさけてとおることのできない課題 です。

 また、全国に発信する希望ある改革の姿を示したものです。

 日本共産党は国民生活を守る日本改革の重要な柱として、公共事業に50兆円、社会保障に20兆円という逆立ちした税金の使い方を変えるべきであると一貫して主張してきました。

 長 野県の財政は、前の県政の90年代には概算で、公共事業に年間4000億円、社会保障に1200億円と、社会保障の3倍以上を公共事業につかうというひど い逆立ちぶりでした。1兆6000億円の借金の87%は「3公共事業」によってつくられたものです。この結果ばく大な借金が残り、利息だけで年間 500億円、元利合計2400億円という県民の貴重な税金が消えているのです。

 田中県政になってこの2年間に、公共事業に2400億円、社会保障に1400億円と2倍くらいのところまで逆立ちが改善されて来ました。今回の「財政改革推進プログラム」は4年後の公共事業費を1700億円にすることをめざしています。

 日本共産党はこの道をいっそうすすめるために、単年度の公共事業費の総額を、突出する以前の1991年度水準である1500億円台にもどすことを提案しま す。こうすれば、新たに大きな借金(起債)もなく、いまの借金返済のテンポも落とさずに県民要望に応えながら財政再建をすすめてゆくことができます。

 ムダと浪費大型開発にメスをいれ、生活密着型の公共事業へ

 浅川ダムや下諏訪ダムの中止に続き、各地に計画されたダム建設について、いま検討がすすんでいますが、同時に、工事費が数億円から数十億円の砂防ダムや砂防 堰堤などについても、すでにムダが指摘されているところがいくつかあります。砂防ダムは現在着工中のものだけでも12ヵ所で200億円をこえる工事費にな ります。今後計画中のものも一つひとつについて精査がもとめられています。

 日本共産党はこの間、誰が見てもムダと言われているものが多い砂防ダムを取り上げてきました。田中知事は、県土木部が必要とする砂防ダムは7千ヵ所におよんでいることを明らかにし、抜本的に見直すと答えています。継続中のものも見直す必要があります。

 道路や側溝などの工事についても、国の規格にあわせて必要以上の幅の道路や大きな側溝、歩道などもいたるところにみられます。北陸・東北・北海道など 15の道県が国規格とは別に独自の県規格を設定して、身の丈にあった道路建設などをすすめようとしています。県下でも、下水内郡栄村のように村独自の道直 しをすすめているところもあります。県政においても国規格にたよらない長野県独自の規格の道路行政をすすめます。また、歩道や通学路優先を全県に広げるこ とを提案して、知事は「全県的に広げたい」と答弁しました。

 前県政時代に計画され、県民の批判があがっていた豊野町の蟹沢トンネ ルに、さらに周辺整備事業として、新たに90億円の工事がすすめられようとしています。これに類似した事業や県議会の議決を要しない5億円以下の工事など についても、この際、徹底した精査・見直しが求められています。

 県の公共事業評価監視委員会は、ムダな公共事業の推進の役割を果 たしていた前県政時代の委員会とは大きく変わりました。その本来の役割をいっそう発揮するとともに、前県政時代の遺産の見直しに職員はもとより、広範な県 民が積極的に参加することが求められているのではないでしょうか。

 田中県政になってはじまった入札制度の改善は、建設コストの縮 減など目に見える成果をあげています。談合の防止もふくめて、こうした入札制度の改善をさらにすすめるとともに、県内企業優先、小規模事業の直接発注の制 度など、中小企業の意欲に応えながら、土木・建設事業の節約につとめます。

 日本共産党は公共事業はすべていらないという立場ではありません。

 毎年多額の公共事業費を使ってきながら生活道路の整備などは大きく遅れた県になっています。公営住宅でのグループホームの実施、下水道、合併浄化槽などの生 活関連施設、特養ホームや保育所の新増設、学校の大規模改修、バリアフリー化など県民生活にとって必要な公共事業は計画的に推進します。

 長野県の財政を悪化させた根本的な原因のひとつである公共投資の見直しは、財政再建のための重要課題です。また、財政再建のために必要なムダをなくすことは、県民と職員の知恵とチェックが欠かせません。

 よい意味でのムダをなくす総点検への県民、職員の総参加を呼びかけます。

 さ らなるムダな事業の見直しをはかり、不要不急の公共事業の見直しをすすめ、優先順位や工法の再検討も進めていかなければなりません。公共事業の計画段階・ 執行時・事業終了後の評価について県民や県職員が意見を表明できるように県民参加を保障するシステムを確立し、情報公開の徹底、地権者や地域の役員などの 直接的な関係者だけでなく県民への説明責任を果たすことが求められています。

県としてできる景気対策をより本格的

 小泉内閣は日本経済の舵取りの力をまったく失って迷走状態です。

 一 枚看板の「不良債権早期処理」は、倒産・失業の増大と景気悪化、不良債権の拡大再生産という悪循環をつくりだし、中小企業の倒産・経営危機がすすみ、大企 業による横暴なリストラと失業者の増大がすすんでいます。一方では、社会保障だけで3兆円をこえる負担増がすすめられ、個人消費と中小企業という日本経済 の土台が猛烈な勢いで破壊されつつあります。

 このような中で、根本的には政治の転換が求められていますが、県の財政改革の実施のなかで、景気対策をきちんと位置づけた取り組みが必要です。

 第一はなによりも消費の拡大です。

 個人消費のこれ以上の縮小をさけるために、県の公共料金の引き上げや福祉施策の後退はさけるべきです。県の消費(支出)も大型プロジェクト中心よりも、福祉・くらし型の公共事業のほうが、地元業者への発注率も地域経済への経済効果が大きいことはいうまでもありません。

 公共事業を生活密着型に、さらに大幅に削減して福祉、教育や環境へ重点を移してゆく財政構造の抜本的な改革は、県民の暮らしを守るにとどまらず、新たな福祉・環境型の産業を起こし、雇用と地域経済を復興させる力にもなります。

 長 野県情報統計課の資料にもとづいて1000億円投資した場合の経済的波及効果について試算してみますと一次的な生産誘発効果は公共事業(建設) 1251億円にたいして、福祉(医療・保健・社会保障)1189億円と若干公共投資のほうが多めですが、雇用誘発効果は公共事業9800人にたいして福祉 は1万2300人となります。備品や消耗品の購入、常傭的な雇用の増大とその消費など二次的、三次的な経済波及効果を考えると、福祉・医療・教育などへの 投資のほうがダムなどとは比べものにならない大きなものがあります。今日の高失業率のなかでの雇用の確保などを考えれば、公共投資から福祉・教育・環境な どに県の財政の柱をシフトしてゆくことはますます重要になってきています。

 景気対策の第二は、いまある中小企業を守り育ててゆくことが大事です。

 実 効ある中小企業振興条例などを制定して、県や市町村などがやるべきことをはっきりさせながら中小企業を励まし、意欲を引き出す取り組みが求められていま す。県のいわゆる官公需の中小企業への発注率は田中県政になって80%台に伸びました。この流れをいっそう大事にしてゆきます。

 第三は地域金融のあり方の問題です。

 小泉内閣の不良債権早期処理の方針のもとに、金融機関による貸し渋り、貸しはがし、金利の引き上げなど中小企業の資金繰りの悪化が急速に広がっています。

 金融機関の本来の役割は、地域に資金を供給し、生産・流通、消費などの地域経済を活性化させるところにあります。地域経済の安定なしに、地域金融にたずさわる金融機関の健全な経営の維持はできません。

 こ れらの要請に応えられるように、県としてやるべきこと、金融機関に求めることなどを明確にした「長野県地域金融活性化条例」の制定が求められています。長 野県では12月から、金融機関の貸し渋り、貸しはがしなどにあっている業者の相談窓口として「貸付110番」を設け相談にのったり、県として金融機関にた いして改善の申し入れを行ったりする体制をとっています。

 また、民間の融資制度資金を対象にした借り換え制度(京都方式)の検討が必要です。

 第四は、もっと踏み込んだ産業政策の探究です。

 ものづくり産業、農業、商業、観光、福祉・環境などの新しい産業への探究、県下の大学との連携強化などがもとめられています。景気対策をすすめることは、それ自身が県税収入の増大にもむすびついて財政再建のなによりもの保障になります。

 第五に、障害者・母子家庭の就労の場を確保する対策が必要です。

事務事業見直しへの提案

 田 中県政は約1700の事務事業のうち116を廃止、319を縮小見直しを提起しています。このなかで、日本共産党が一貫して主張し続けてきた同和対策事業 の廃止が打ち出されたことなど特別に評価すべき事項もあります。この(案)の個々の課題を検討すれば、県民の目線・願いからみて賛成できない部分もありま す。大事なことは、何のため、だれのための財政再建かということをきちんとすえて、自民・公明政権の悪政から県民生活をまもる、自治体らしい自治体のあり 方をいっそう鮮明にすることではないでしょうか。

 今回提案されている事務事業の見直しのなかには、県民の負担が重くなるものがあり、そのことがまた個人消費を冷え込ませる要因にもなります。以下の事業の廃止等は再検討すべきと考えます。

 ・ 松くい虫対策予算の減額は、現行対策より効果のある施策が見つかるまでは継続する

 ・ 高齢者・障害者・母子等の個人給付は、所得制限を導入しても経済的弱者対策として継続する

 ・ 高校授業料をはじめ県立各種学校の授業料値上げは見合わせる

 12 月議会では、1月から3年間知事30%、その他の特別職20%給与をカットすること、議員は20%から10%の歳費カットをきめました。日本共産党県議団 が自らも実践し主張し続けてきた、政務調査費の全面公開と全国ではじめて約6.5%の削減をきめました。日本共産党はさらに公費による海外視察の廃止を主 張しています。管理・監督だけの教員を配置している指導主事の221人の廃止や、外郭団体の抜本的な見直しによって、県民への負担増は最小限にする財源は 生まれます。

長野モデル創造枠予算への提案

 長野モデル創造枠予算は、 長野モデルにふさわしく、従来の予算の枠組みのなかで改革プログラムの立場を生かして考えてゆくべきものと、新たな文字どおりの創造枠予算という立場か ら、重点化をはからなければなりません。すでに県の改革プログラムに示された創造枠の案の具体化をすすめるとともに、県民参加で創意をくみ上げる取り組み が求められます。

 以下の事業を第一次分として提案します。

○ 「介護で泣かない長野県」を実現するため基盤整備とサービスの抜本的充実。とりわけ、緊急時のショートステイの枠の拡大。特別養護老人ホームの必要な増設、宅老所のいっそうの増設と運営への支援。

○ 子育て支援策として、気軽な相談活動とともに児童虐待の急増に対応した児童相談所の相談機能と体制の充実、全国に誇れる一時保護施設の整備。

○ 30人学級の対象をすみやかに小中学校全学年に拡大してください。また、教室不足の解消、小6、中3などの卒年加配の復活。

○ 新たな治水・利水対策に関連する事業の早期具体化。千曲川、天竜川の抜本的な改修計画の前進のため、国へのはたらきかけを強める。また、市町村の利水事業への支援制度の創設。

○ 「身の丈にあった公共事業」を抜本的にすすめるため、「長野県規格」の整備を県民や職員の知恵も生かして具体化する。

○ 始まった森林整備や、県産材の活用がさらにすすむように、予算を増額する。

○ 自然エネルギーの研究のなかに、農業用水を個人の水力発電に活用できないか検討する。また、都市部の渋滞解消と環境への配慮から、通勤・通学用の自転車道の整備をすすめる。

 国にたいして、国民生活を守る景気対策と地方財政の確保を要求します

 景気をよくして、県民生活を豊かにすることこそ、県財政をよくする一番たしかな保障です。

  ▲社会保障での3兆円負担増の中止

  ▲国民や中小企業への増税をやめる

  ▲「不良債権処理」の名による 中小企業つぶし政策の転換

  ▲職場での無法の一掃、失業者の生活保障の実現

 をもとめます。

 地方分権の名にふさわしい税源の委譲や交付税率の引き上げ、国庫支出金の増額、政府系の地方債利子の引き下げなど、地方財政の確保を要求します

 深刻な不況に苦しむ国民に重い負担を押しつけながら、政党助成金は8年間に2500億円も支給されています。このような政党助成金はただちに廃止すべきです。

人件費の問題について

 県 職員の人件費問題は、今回のような特別の財政困難の中での財政再建という、県民共同のいとなみのなかで位置づけられなければならない課題です。県政の改革 は、様々な分野で県民奉仕の立場でとりくむ県職員のみなさんや、子どもたちの成長に真摯にとりくむ教職員のみなさんなどの協力があってこそ実現できるもの です。それだけに県政改革のテーマにそって、各分野でムダをなくし、これまでの習慣にとらわれない努力や改善がなされるとともに、県民要望実現のための施 策を前進させる立場にたって、労使双方が互いに力を合わせられるような真剣な話し合いが行なわれることを期待します。

 新しい県財政のあり方への転換めざす県民的な共同をよびかけます

 県民要求に応えながら財政再建をしてゆくということは、県政が本当の意味で住民本位の自治体らしい自治体をつくってゆく新しい課題への挑戦です。文字通り全国に発信する長野モデルとなります。

 そのために、県職員をはじめ自治体労働者はもとより、県下各地から県の行政の改善点やムダ使いをなくすこと、県民の要求を実現するための施策など積極的に知恵と力を寄せる共同の取り組みを呼びかけます。

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