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危険でムダ、住民無視の「浅川ダム(穴あきダム)」は、県民の世論と運動できっぱり中止を─浅川ダム予定地、日本共産党国政調査団が緊急現地調査

 8日、村井知事は浅川ダム建設方針を打ち出しました。日本共産党県議団は、ただちに知事に面会し中止の申し入れを行いました。
11日、井上さとし参院議員・党参院国対委員長を団長とする国政調査団が、浅川ダム建設予定地、新幹線車両基地、千曲川との合流点を視察しました。
予定地の視察には、多くの市民のみなさんをはじめマスコミ多数が取材。党県議団も同行しました。

日本で唯一稼動している「穴あきダム」を長野市議団が視察

 「信毎」9日付でも報道された全国で唯一稼動している「穴あきダム」・島根県の益田川ダムを日本共産党長野市議団が2月7〜8日に視察しました。視察報告を紹介します。
 益田川ダム 昨年完成したばかりの「水を溜めないダム」として全国的に注目されています。穴が下についているため、通常はダムに水はたまりません。洪水時のみ貯水される仕組みです。しかし完全なダムです。決して規模は小さくありません。
 益田川ダムが穴あきダムになった理由は、説明を受けた島根県の「県土整備事務所」によれば、昭和58年の大洪水で多くの犠牲者を出し、それまでの益田川の治水計画を大幅に見直し、計画高水を引き上げざるを得なくなり、ダムの貯水容量を増やさなければならなくなったからです。ダムの貯水容量には、100年でたまる堆砂分を含めていますので、堆砂容量分を減らし、貯水容量を増やすという方法をとりました。そのために堆砂をいかに減らすかを検討し、穴を下につけ、洪水時以外は水を溜めず、利水機能を持たない洪水調節のみのダムにしたとのことでした。
 いま全国で、穴あきダムの計画が目白押しです。この間の各地のダム反対の運動があり、中止が相次いだ多目的ダムでしたが、ここに来て「負荷が少ない」「規模が小さい」などの言い回しで、「治水目的の穴あきダム」の計画が国交省の音頭ですすめられています。
 とにかくダムをつくろうというダム推進派の「巻き返し」を指摘する声もあります。

浅川の穴あきダム 規模は同じ、貯水量6分の1なのに、体積は2倍

 視察してわかったことは、益田川ダムは、堤防の高さが48メートル、堤防の頂上の長さが169メートルで、計画されている浅川の「穴あきダム」とほぼ同規模なのに、大きく違うところが2つあるということです。
 1つは貯水量です。「信毎」でも指摘されていましたが、益田川ダムは670万立方メートルに対し、浅川ダムは110万立方メートルと6分の1しかありません。
 ところがもう1つは、堤防の体積です。益田川ダムは10万6,400立方メートル、浅川ダムは、ほぼこの2倍の規模(当初計画では24万立方メートル)といわれています。貯水量は6分の1なのに、使うコンクリートは、なんと2倍です。
それはなぜか。
益田川ダムは比較的安定した地盤につくられており、地すべり地帯の浅川とは全く違うからです。浅川は地盤が弱く、2倍の重さでないと安定しないためといわれています。
浅川ダムの危険性が、その計画の中で示されていることになります。

 税金のムダ使い

 堆砂では、浅川は益田川に比較にならない深刻な堆砂問題を抱える河川です。私たちも堆砂問題については浅川ダムの根本的な問題として指摘してきました。
 穴あきダムは、土砂や流木で穴がふさがれないように、上流に砂防ダムが必要になります。
 その砂防ダムが埋まれば、さらに上流に砂防ダムが必要となり、際限なくダムづくりが続く危険があります。計画される浅川ダムの穴の断面は1平方メートルと大変小さく(益田川ダムは12平方メートルが2つ)、堆砂問題は致命的な問題です。
 ダムをつくること自体に無理があり、無理を通すために、際限なく税金をつぎ込む、こんなことが許されるでしょうか。

「水をためない」といっても洪水時には貯水され、地滑りをおこす危険が

 仮に堆砂問題が解決したからと言って浅川ダムの危険性が軽減されるわけではありません。
 イタリアのバイオントダムも、奈良県の大滝ダムも、長期間貯水したために地すべりが発生したわけではありません。いずれも試験湛水の時点で地すべりが発生して、甚大な被害を起こしました。
 バイオントダムでは地山の大崩落でダム津波が起こり、下流の村を飲み込みました。
 大滝ダムでは「伊勢湾台風でもびくともしなかった」というダム湖の上にある集落に壊滅的な亀裂が生じ、集団移転を強いられ、今なお、新しい地すべりが発生し、ダム建設後も大規模な地すべり対策工事を行ない、膨大な工事費を投入し、さらにダムとして使うこともできない事態になっているのです。(総工費3500億円で完成、その後地すべり対策追加工事に78億円、さらに100数十億円の地すべり対策が必要となっています。)

浅川ダム建設に対する各党の態度

●自民党県議団・・・「県の判断は評価できる」と手放しで礼賛。
●緑新会(民主党羽田派)・・・「知事が決断したことは評価できる」とコメント
●県民協働・無所属ネット(社民党系)・・「穴あきダムは現実的な対応」とコメント
●公明党・・・冬柴国土交通大臣「知事の決断を高く評価する」

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≫浅川「穴あきダム」問題で緊急号外発行(PDF)

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